Podcastのマーケティング活用事情

今日は、私達も弱小ながらクラブ活動のノリで楽しんでいる「Podcast」がテーマです。アメリカなんかと比べると日本のユーザー数はまだまだめっちゃ少ないのですが、2023年以降、YouTubeの参入(後ほど説明)により確実にユーザー数が伸びるのではないかと思います。

そんなPodcastですが、アメリカではマーケティングに活用する企業も多く、統計値も出てきています。なので今日は、Podcast周りの最近の媒体の動きと、アメリカでのマーケティング動向、そして日本においても数は少ないながらもEC事業者が運営するPodcastもあるので、併せて紹介していきたいと思います。

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なぜいまPodcastを取り上げようと思ったのか

なぜこのタイミングでPodcastをテーマにしたのか…。それは、2023年2月・3月にGoogleが発表したYouTubeに関するニュースがきっかけです。

まずは2023年2月より、アメリカのYouTubeにおいて、YouTube StudioにてPodcastの作成・設定ができる仕様をテストしているというニュースが発表されました。

次いで2023年3月に、YouTubeのオフィシャルブログにて、ニールモーハン
(YouTube CEO)が、ニールモーハンからのメッセージというタイトルの記事にて、2023年後半にはRSSインテグレーションを予定している旨を記載していました。

YouTubeは現在でもユーザーが独自のPodcast配信を行っている例は多くありますが、今現在は自分たちでアップロードしなければいけません。

RSSで自動配信になればクリエイター側も楽になり、かつYouTubeという巨大市場にアプローチできるので、一気にユーザー層が広がりそう。

いよいよマーケティングへの活用を検討する企業も増えるのでは…ということで、テーマにしてみたわけです。後で書きますが、実際アメリカではマーケティング活用する企業が増えています。


そもそもPodcastって?

そもそもPodcastとはiPodでラジオのように聴ける放送(Broadcast)の組み合わせとして生まれた造語で、2004年頃に登場しました。普通は、音声コンテンツをRSSのソースコード経由で複数のチャンネルに配信する形式で、ラジオのように地域に縛られず、電波の域を超えて自分の好きな番組を視聴できる点が画期的でした。

日本では2004年頃に登場したのち、一度下火に。当時はデバイスも限られており、また配信コンテンツが限定的だったことも定着化しなかった理由なのかなと推測します。

Googleトレンドで見ると、2006年をピークに下がり調子になり、2022年頃からまた少し増えています。

一方アメリカでは、同じく2006年頃にぐっと人気度が上昇し、その後は右肩上がりです。

アメリカの場合、英語コンテンツが豊富だったことや、土地が広く車社会であり、ラジオ文化が根付いていたためPodcastを受け入れやすい土壌があったのかもしれません。

直近、またPodastのブームが再燃していると言われていますが、その理由としてはスマホの普及や音楽配信サービスのPodcast対応などが挙げられると思います。調べてみると、コロナ禍でのロックダウンもブーム再燃の要因の一端だという意見もありました。


アメリカでのマーケティング活用事情

そういうわけで、アメリカではPodcastマーケティングがデジタルマーケティングのトレンドとなりつつある、という証左になりそうな統計データが「SPIRALYTICS」2023年2月に公表された記事に書かれていました。

Podcast Marketing Statistics for Businesses – Spiralytics

以下に抜粋してみます。

・Statista(スタティスタ)のデータによると、2021年には8200万人超のアメリカ人がPodcastを視聴していて、それはミレニアル世代とZ世代が大部分を占めている。

・2021年、アメリカのリスナーは毎週11.2時間Podcastを聴いた

・特にミレニアル世代とZ世代は仕事でPodcastを使用する可能性が5%高く、Z世代の75%が何らかの音声配信サービスに加入しているとのこと

・デバイスは73%がスマホで、リスナーの59%が自宅で視聴している

https://www.spiralytics.com/blog/podcast-marketing-statistics-for-businesses/

どうやらアメリカではミレニアル世代とZ世代が良く視聴していて、平均週11.2時間も聴いているとのことでした。
私も単純作業系の業務中はノイズがあったほうが集中できるので、仕事中にラジオを聴く感覚で視聴しているのかな、と推測。

こうなると当然、企業はマーケティングに活用しようとします。

・2022年、アメリカのマーケ担当者はPodcast広告に17億3000万ドルを投下

・ブランド化されたPodcastコンテンツは2020年~21年にかけて82%増加

・eMarketerによると、2020年3億3千万人だった世界のPodcast人口が、24年には5億人を超えると見込んでいる

https://www.spiralytics.com/blog/podcast-marketing-statistics-for-businesses/

まだまだ市場としては、他の広告メディア、認知メディアと比較して低い競争率にも関わらず、今後Z世代やミレニアル世代に注目される存在として、マーケターからPodcastが注目されているというのが、アメリカの現状のようです。


日本はどうなのか

2022年のポッドキャスト国内利用実態調査によると、Podcastの利用率(1ヶ月に1回以上利用する率)は15.7%で、国内ユーザー数に換算すると1680万人程度。アメリカからしたらかなり少ない数ですが、2020年が14.2%、2021年が14.4%の利用率だったことから考えると、すこーーしずつ増えてきている感じでしょうか。

また視聴年齢はアメリカと同様で、全年齢平均の利用率が15.7%なのに対して、15-29歳に絞ると28.1%が視聴しており、全年齢で最も高い利用率でした。なんとなく、受験勉強中にラジオを聴くイメージありますが、この年齢層は音声メディアとの相性が良いのかもしれません。

ちなみに、同調査によると日本では視聴に利用されるプラットフォームは以下が主流のようです。

1位 Spotify 41.8%
2位 Apple Podcast 22.2%
3位 Amazon Music 19.8%
4位 Webサイト 15.4%
5位 Google Podcast 9.9%

日本でPodcastマーケティングを行うならば、主戦場はSpotifyになりそうですね。YouTubeのRSSインテグレーション開始で、色々と動きそうではありますが。


Podcast配信を活用しているECサイト

日本ではまだ少数とは言うものの、ECサイトを運営する事業者が配信しているPodcastもいくつかあります。

北欧、暮らしの道具店 「日曜ラジオ チャポンと行こう!」

隔週日曜に配信されており、一緒にお風呂に浸かっているようなトークを繰り広げながらゆるまる番組、というテーマ。既に131話も公開されています。トークテーマ的には主力商品である雑貨の紹介ではなく、「大人の友達の定義」とか「文字だけでうまく気持ちを伝えるには?」みたいな、いわゆる「丁寧な暮らし」を好む層(=商品と親和性が高そうな層)に響きそうな啓発系のテーマが多そう。ブランディング寄りのコンテンツとして活用しているのかな、という印象でした。

NOSE SHOP 「香りの言語化を試みるラジオ NOSE Knows」

井谷が香水好きなこともあって、以下のポッドキャストでも取り上げたNOSE SHOPさんもポッドキャストを配信しています。

2022年10月に開始して、毎週火曜に更新。「香りに関する基礎知識」から、「似合う香りとは」みたいな雑学、「チョコレートの香りを言語化する」みたいな音声メディアならではのテーマだったり、香りにまつわるトークが中心です。
コアなオタクも楽しめるとは思いますが、どちらかというとファネルの浅いライトユーザーを取り込んでファンを増やすような目的なのかなあ、という印象でした。

中川政七商店 「中川政七商店ラヂオ」

こちらは毎週金曜配信の、季節の手触りをお届けする、をテーマとしたPodcast。季節のイベントに合わせておすすめの道具や贈り物を紹介しています。ここで紹介したものはすべて公式サイトで帰るので、「北欧、暮らしの道具店」よりもより獲得寄りな印象です。

他にも、ECサイトではないですが、雑誌の有名どころ(Vogue、ELLE、メンズノンノ等)は軒並みPodcastがありました。音声と紙という媒体の違いはあるものの、何かをエディットするという意味では横展開しやすく、親和性が高いのかもしれません。

今回はオウンドメディア中心のお話でしたが、いずれかの機会で音声広告の話もできたら良いなと思っています!