ウェブ上で香りを伝えるということ

五感の中でもVRコミュニケーションができない感覚の一つである嗅覚。嗅覚にまつわる商材を扱うプレイヤーはどのようにして商材の魅力を伝えているのか?今日はそんなお話です。

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コマースにまつわるNewsトピックスや、日々運用する中で思うこと、あるあるネタなどを、オカダとイタニが夜な夜なゆるく語る番組です。皆さんとわいわい楽しみながら、コマースにまつわるお話を毎回テーマを変えて語ろうと思います。隔週水曜日に新エピソードを配信中。
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目次

  1. VRコミュニケーションできない商材をいかに売るか?
  2. 香水業界へのコロナの影響
  3. 香水のサブスクリプションサービス
  4. オンラインでフルオーダーを完結させる

VRコミュニケーションできない商材をいかに売るか?

皆さんこんばんは。今日は嗅覚の話です。前回EP.02 では拡張レンズを使ったショッピングの話をしましたが、レンズを通じたショッピング体験はすでにSFの話ではなく現実のものとなってきています。

※第2回はこちら※

一方で、五感の中で現在VRコミュニケーションができないのは嗅覚、味覚、触覚です。2030年にはバーチャル体験も可能になると言われていますが、今現在は実験段階でしかなく、技術を実用化するにはまだ時間がかかりそうです。

なので、それらにかかわる商材を扱うプレイヤーは、店頭売りをメインにしてきた過去があります。しかし、コロナ渦において店頭売りが難しくなったことで、ウェブシフトせざるをえなくなり、様々な売り方が模索されています。

今回は、イタニの好きな香水に特化して、ウェブでの販売戦略、サービスの事例を紹介します。

香水業界へのコロナの影響

経済産業省によると、コロナで最も打撃を受けた(=落ち幅が大きい)業種は生活娯楽関連サービス(宿泊業、飲食店,飲食サービス業、洗濯・理容・美容・浴場業、旅行業、冠婚葬祭業、写真業等)だそうです。

香りを嗅いで購買決定する香水に関しても、コロナがひどい時期にはデパート自体が閉鎖していたり、開店していたとしてもムエット(テスター)を嗅ぐことすらできずボトルと説明書きを眺めるだけだったりといった状況で、厳しい様相を呈していましたが、コロナが落ち着くにつれ好調に転じているようです。これは、ステイホームの時間が長くなることで癒しや気分転換のための香り需要が増えているためかと思います。

香水のサブスクリプションサービス

そうした状況の中で、新たな香水関連サービスが次々と生まれています。その一つが香水のサブスクリプションサービス。COLORIA(カラリア)香りの定期便では、月々2,000円前後の定額で、約1,000種類あるブランドから毎月自分が好きな香水を1種類、4mlのアトマイザーに入れて届けてもらえます。

どの香水が好みかわからない方向けのLINEでコンシェルジュに相談できるサービスを行っていたり、ユーザーの6割が20代ということからも、香水ライトユーザー、エントリーユーザーがメインの客層だと思われます。こうした香水のサブスクサービスはコロナ以降、徐々に増えてきています。

オンラインでフルオーダーを完結させる

もう一つ紹介したのが、リベルタパフュームです。こちらは2020年に創設されたブランドですが、立ち上げ当初から”Webと香りの親和性”の可能性を追求しているようでした。

例えば、ウェブサイト上での診断コンテンツ。診断コンテンツ自体はよくありますが、リベルタの場合は体臭やタイプを測るためか普段の食事内容や生活習慣を聞いたり、香りを使って自分をどう見せたいのか(かっこいい自分、個性的な自分等)に重きを置いた診断を行い、最適な香水を提案するという本格的なもの。

▼香水診断トップ▼
https://liberta-perfume.com/personalize/page/zyunn0rxxg4pbv9?aid_h=d1ms7l7p7hp6w2yxw91s9

また、2022年からはオンラインでのフルオーダーサービスも開始しています。フルオーダーとは、調香師と相談しながら自分だけの香水を作るというもの。従来は直接調香師と対面して行うものでしたが、本サービスは完全オンラインでオーダーから商品到着までを完結させています。

↓こんな感じの、調香の元となるムエットと、香りのイメージを具体化させるためのワークシートが郵送されてきて、調香師の方とZoomでオンライン面談をしながら、セッションを通して好きな香りや作りたい香水のテーマを最適化させていきます。

↓セッション後、数週間で調香されたオリジナルの香水が届けられます。調香の配合レシピも同封されるので、リピート注文も可能です。

ウェブ上で表現できない「香り」だからこそ、香りそのものだけを売るのではなく、オンラインでの体験消費の場にしてしまうのは非常に面白い試みだなと感じました。「触覚」「味覚」など嗅覚同様にウェブで表現しづらい感覚を扱う商材にも応用できるヒントになりそうですね。