EC担当者が半年間LINE公式アカウントを運用してみて思ったこと

皆さんこんばんは。今日は、Eコマースを運用するうえで、LINEって使える?というお話についてです。

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国民的インフラになったLINE

Eコマースの集客手段は、InstagramやTwitter等のSNSやメルマガなど色々ありますが、LINEの強さは日本国内におけるMAUの多さだと思います。2022年6月にLINE社が出したリリースによると、MAU9,200万人ということで計算上は日本人のほとんどが使っていることになります。
この、日本国内では圧倒的なユーザー数を誇るLINEを企業や店舗がビジネス活用できるサービスが、LINE公式アカウント(Business for LINE)です。メッセージ配信やチャット、ショップカードやクーポン機能などがあり、運用目的に合わせてCRM用途にも、CS用途にも色々な使い方ができるというのが売りです。

「コマースわいわいワイド」の片割れであるイタニは某ECサイトのLINE公式アカウントを半年ほど運用しているので、その所感やメルマガとの差異をお伝えできればと思います。

大前提、友だちがいないと始まらない

何を当たり前のことを言っているんだという感じですが、「本当にまず友だち(=登録ユーザー)がいないと何もできない」というのが、まず最初に私がぶち当たった壁でした。

かつてのLINE公式アカウントは、全友だちに対して一律配信しかできなかったため、友だちをいかに増やして配信通数を確保するかという方向性でKPIを設定することが多かったようです。

その後アップデートやサービス統合があり、現在のLINEではターゲティング配信やシナリオ配信等のパーソナライズが行えるようになりました。そのため、以前のように「とにかくたくさん友だちを作る」という方向性から「仲良くなれそうな友だちを見つけて、いかに親友を増やすか」という”質より量”の運用が主軸となっています。

誰が親友になってくれそうかを探るために、ターゲティング配信を繰り返してデータを蓄積し、パーソナライズ精度を高めていくイメージです。

しかし、LINEの場合セグメント配信やターゲティングを行うには配信リスト母数の下限が設けられていて、ある程度の友だち数がいないとこうした配信が行えないのです。まさに鶏と卵なのですが、結局親友を見つけるためにはある程度友だちを確保しないといけない。

なお、サードパーティツールを使ったり、開発を加えればこうしたリスト数の制限は発生しません(が、もちろんお金がかかります)。

友だちの集め方としてはメルマガ会員への案内やサイト上での案内がありますが、それだと数としてはたかが知れているので(私の運用するアカウントがBtoBだからというのもあるかもしれません)、手っ取り早く友だちを増やすならLINE友だち追加広告の効率が良いです。ただし広告経由で登録してくれた友だちは簡単にブロックしやすいので、同時にクーポン等のオファーを配信するなどの工夫が必要です。

メルマガとLINEの違いは?

メルマガとLINEはよく比較されます。実際私が運用するサービスでも、メルマガからシェアを奪ってしまった例もありますが、同じユーザーでも舞台が変われば異なる行動をしてくれるから面白いです。以下が、メルマガとの差異だと感じた点です。

  • モバイルをメインデバイスにしている層に刺さりやすい
    例えばBtoBならば、飲食店や美容師さん、接客業の方ような普段業務でPCを触らないユーザーにアプローチしやすい。私のアカウントではメルマガの開封率は通常30~40%ですが、LINEだと常に60%超です。また、メルマガは配信~3日間位の間にまばらにセッションしますが、LINEの場合は配信~2時間以内がセッションのピークです。
  • リアルタイム系訴求との相性が良い
    上記の理由もあり、タイムセールや期間限定キャンペーンなど、リアルタイム訴求の施策とLINEは非常に相性が良いです。LINEの友だち追加のユーザー側のメリットとして「セール情報を見逃さない」といったことを謳っているアカウントも多いです。
  • 拡散性が高い
    LINEは友人間のコミュニケーションツールとしても浸透しているため、知人へのシェアのハードルも低く、メルマガよりも拡散されやすいと思います。例えばお得な情報がメルマガで送られてきたとして、知人にメールを転送する人は少ないと思いますが、LINEであれば気軽にシェアしますよね。

とは言え、メルマガでしかリーチできない層も一定数います。どちらかのチャネルに偏重するのではなく、それぞれの特性を理解してうまく使い分けて(組み合わせて)ユーザーストーリーを設計するのが効果最大化のコツなのかな、と思ったりしている今日この頃です。

2023年6月に料金改定

LINE社のリリースによると、2023年6月に料金プランが改定される予定だそうです。改定理由は、以下の機能を強化するためだそうです。

・「LINE公式アカウント」上のサービス利用情報やアンケート結果などのユーザーデータとの紐づけ※による、より高度なメッセージ配信の最適化
・PayPayやYahoo!JAPANなどのZHDグループ各社サービスとの連携によるユーザー接点の強化
・業種特化型パッケージプランの提供
※全てユーザー許諾済みのデータ

【重要】LINE公式アカウント 料金プラン改定及び日割り廃止のお知らせ

これらすべての機能が6月にアップデートされるわけではないでしょうが、中でも特にアンケートデータとユーザーデータの紐づけに関しては早々に実現してほしい項目です(LINEは特にパーソナライズ機能が弱いと感じるので)。

カスタマイズ性が高いがゆえにアカウントによって運用目的がバラバラのため、LINEのオーガニック運用に関する記事や書籍はまだまだ少なく、記載があっても汎用的/基本的な内容に留まっている事が多いです。手探りで試行錯誤している運用者の方も多いと思いますが「ウチではこうやってるよ」といったTipsがありましたら、ぜひTwitter等で教えていただけると嬉しいです!