皆さんこんにちは。今回は、前回に引き続き、川邉雄司さんをお招きして、サイト内検索について考える回です。今回は川邉さんのご経験をもとに、サイト内検索周りの活用できて効果に繋がりやすいTIPSについて教えていただきました!
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事前準備:欲しいデータが取得できる環境か?どんなデータが取得できているのか?
データを取得するツールは、Google アナリティクスのような無料ツールで充分ですが、デフォルトではクエリまで取得できる設定がなされていないこともあります。クエリパラメータの指定などの設定がされているかの確認を行うのと、設定されていない場合はすぐに行いましょう。
取得しておきたいデータは、以下です。
- どのページが検索されているのか
- どんなキーワードで検索されているのか
- どんなキーワードが0件ヒットなのか
- 検索結果でよくクリックされているページ(商品)は何か
0件ヒットとは、検索結果が0件で返されるキーワードのことを言います。ここがまず最初に解決すべき重要な課題です。
0件ヒットは、企業が発信しているものと、ユーザーが求めているもののミスマッチやギャップを把握するのに役立ちます。0件ヒットの割合は、企業やビジネス規模によって様々ですが、多いところだと全体の25%にのぼることもあります。キーワードの傾向によって0件ヒットが起こりやすいものがあるので、そこは特に注意する必要があります(詳細は後述)。
データをざっと眺めて、キーワード傾向を把握する
取得したいデータを取得できるようになり、ある程度溜まったら、次は出力したデータをざっと眺めてみます。「どんなキーワードで、どんな商品が検索されているのか」だけでなく、以下もチェックしてみましょう。
- 揺れ揺らぎ/類語
よくありがちなのがゲル⇔ジェルなどの揺らぎ言葉と、ジーンズ⇔デニムなどの類語です。これらがきちんと網羅されているかを確認します。 - 型番
ユーザー側は型番で検索しているが、企業側は製品名で検索されることを想定していてミスマッチを起こすケースです。または、ユーザー側はハイフンあるなしを気にしていなかったり、大文字小文字の区別なく検索していたり、前方一致でヒットさせたかったりするが、企業側は完全一致を想定していてうまくいかない、といったケースもあります。 - サポート系
また、どのサイトでも結構多いのが、返品やカタログ請求などの、いわゆるサポートサイトやヘルプデスクで聞くようなことを検索しているパターンです。企業側の視点では「検索窓=商品検索」と思っていても、ユーザーはそう捉えていないこともあるので注意が必要です。 - 造語
アパレル系に多いのですが、オフィスニットや、UVパーカーといった実際にはないユーザーが作った言葉が検索されていることもあります。例えばUVパーカーならば、具体的な商品名までは決まっていないけれど、紫外線をカットするパーカーが欲しいんだろうなという推測はできると思います。
こういったものはヒットしないケースも多いのですが、一般的にこういった表現をしているのであれば商品名の中に入れた方がいい場合もありますし、リスティング広告を出稿する際のキーワード選定の参考にもなるかもしれません。
上位100件分くらい、時期で言うと1年分くらい見られれば充分だと思います。
キーワードの次は、どのページが検索されているのかを確認する
次のフェーズでは、どのページが検索されているのかを確認します。
どのページにも検索窓がついているタイプのサイトの場合、妙に検索されるページというのが出てきたりします。
検索のスタートページを調査していくと、ユーザー目線では袋小路になっている場合や、該当ページで何かに困って検索している場合など、何かしらの理由があって検索している要因を発見できることがあります。
例えば、とあるECサイトで検索のスタートページを分析した際に、カートページから検索されることがとても多いことに気がつきました。当時そのサイトでは〇〇円以上で送料無料というキャンペーンをやっていました。
なのでユーザー目線では、恐らくカートインした段階で5000円に満たなかった場合、追加で何か買おうと思って検索しているのではないか?という仮説が成り立ちます。つまり、カートページに検索窓があるのはキャンペーン時のユーザーの購買導線的に非常に重要で、
逆にそこに検索窓が無かった場合、購買機会を損失してしまう可能性があります。
そういった機会損失を防ぐ、または新たな購買機会を作る意味でも、検索スタートページを調査するのは非常に重要です。
自分でも追体験してみる
キーワードとページを確認したら、自分でも追体験してみると、よりユーザーの目線に立つことができます。よく検索されるワードでも、0件ヒットのワードでもいいので、PCとスマホ両方で追体験してみることが大事です。当たり前のような事ですが、意外とやらない人も多い印象があります。
追体験していくと、自サイトの検索結果がどんな値を返しているのか、検索する前のページと検索結果のページのUIだったり、検索窓の位置だったりが使いやすいのかどうか、検索窓内のテキストのサイズは適切か、見えにくくはないかなど、ユーザー体験を損なっていないかどうかを確認することができます。
ちなみに、検索窓の設置ページはヘッダー標準に、サイズは平均検索ワード数をカバーできていると良いと言われています。
サイト内検索時のSEOにも配慮する必要があります。チェックする視点としては、以下が挙げられます。
- ソート順:検索結果において、自社が売りたいものがきちんと上位表示されているのか
- 0件ヒット時の表現:商品が見つからなかった時に、代替手段を表示できているか(代替商品のレコメンド等)
- レスポンス:表示スピードは売上に直結する
検索結果から、ユーザーのインサイトが見えてくる
ここまで様々な側面からサイト内で検索されているデータを分析する視点をご紹介してきました。ここで得た気づきをもって、揺れ語対策や、ソート順のユーザーデータ取り込みなどのサイト内検索の最適化をかけていくわけですが、そこには対応箇所の問題(検索エンジン側で対応するのか、商品DB側で対応するのかによっても対応が変わってくる)や、ソートの優先順位が関連部署によって異なる問題(売りたい順と売れている順どちらを優先すべきか?)などがあり、なかなか一筋縄では行かない、今日から実践できるというものではない部分もあると思います。
一方で、これはユーザーのサイト内での行動データの塊でもあります。このデータをうまく活かせば、UI/UX面の改善や、選定商品への反映、マーケティング施策を考える際のユーザーインサイトとして活用するなど、色々な面へ活かすことができます。
Googleサーチコンソールなどでサイトへ入ってくるまでの行動をウォッチされている方は多いと思いますが、ぜひサイトに入ってきた後のユーザー行動を知るという視点も取り入れてみてはいかがでしょうか。