ひとり出版社を応援したい話(1/3) 〜独立系の台頭!?

皆さんこんばんは。今日のテーマは昨今増えてきている”ひとり出版社”とコマースの話です。長くなるので前編・中編・後編の3つに分けてお届けしますが、今回(前編)はそもそも出版社の現状はどうなっているのかという部分と、ひとり出版社が増えてきている理由について、ひとり出版社を後押しするサービスの台頭について紹介していきたいと思います。

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目次

  1. 減る出版社数、増える独立系出版社
  2. なぜ不況下でひとり出版社を立ち上げるのか?
  3. ひとり出版社の壁、流通
  4. ①独立系書店の台頭と直販
  5. ②クラウド受発注PFにより、より手軽に本が仕入れられるように

減る出版社数、増える独立系出版社

「出版不況」と言われて久しい昨今ですが、SNSの台頭や動画サービスの拡大によりその勢いは止まることを知りません。以下の記事によると、2001年に4,424社あった出版社数は、2020年には2,907社にまで減少し、それに伴って売上高も約3兆円から1.6兆円にまで半減しているそうです。

さらに規模別でみると、売上高の約半分にあたる52%を100億円以上の売上規模の大企業が占めていて、これまであった中小規模の出版社が大手に統合されたり、廃業したりして寡占化が進んでいる状態です。

そんな中で、ここ数年少人数で出版活動を行う「ひとり出版社」とか「独立系出版社」と呼ばれる出版社が次々と誕生しています。調べてみたところ、正確なデータはなかったものの、以下のインタビューでは流通ベースで月1~2社は増えているようです。

なぜ不況下でひとり出版社を立ち上げるのか?

理由は人によって色々あると思いますが、大きいのは「自分が作りたい本が作れないから」だと私は考えています。出版社のビジネス構造上、本が売れないと出版点数を増やして薄利多売型で売ろうとしたり、他社が出して当たった企画や売れやすいテーマの本を出したりする傾向にあると思います。

そうなってくると、編集者やライターがこだわりを持って企画を持ち込んだとしても、売れそうな内容じゃないと通りづらい。また企画が通ったとしても、自分のポリシーに反する内容にせざるを得ないといったことも起こりえます。

また、出版点数のノルマが増えるわけなので、一冊に注力できる時間も手間も(予算も)限られてしまう…。そういう現状があるので、「だったらいっそ自分でやっちゃおう」という方が多いのではないかな、と。私の周りにもひとり出版社を立ち上げた方がいますが、今の出版社のやり方に限界を感じて起業したようでした。

加えて、ひとり出版社業態が増えるにつれて「この形なら参入できる」ということで他業種から転身する方も一定数いるようです。

ひとり出版社の壁、流通

出版社が本を書店に並べてもらう場合、基本的には取次を介するというのが従来からある流通方法です。大手の取次は基本的に、ある程度出版社側に規模がないと契約できないので、小規模出版社は中間業者と契約して本屋さんに卸すことになります。

なぜ取次を介すのかというと、出版社と本屋が個別取引をしているとお金の管理が煩雑になるため、窓口を一本化させているというのが理由の一つです。今も昔も流通額としては取次経由が一番大きいですが、小さい出版社だと配本数も限られていたりして、なかなか出回らせづらいのが現状。ということで、取次経由以外の流通方法も増えてきています。

①独立系書店の台頭と直販

直販とは、読んで字のごとくで取次を介さず出版社と書店が直取引をすること。昨今ひとり出版社が増えてきているのと比例して「独立系書店」が増えてきていることから直取引も昔よりは進んできているようです。というのも、独立系の小規模書店は大手取次との窓口を持っていなかったり、店が小さいゆえに置ける本の数も限られている(=取引する出版社数も限られている)ので、直販であってもお金の管理が大手チェーン書店のように煩雑にならないのです。

また、卸を介在させないわけですから、当然掛け率が変わるため、書店の実入りが増えるというメリットもあります。

②クラウド受発注PFにより、より手軽に本が仕入れられるように

上記の直販をブーストさせる存在になりそうだな、ということで個人的に注目しているのが、「一冊!取引所」というクラウド型の受発注プラットフォームです。

本の発注といえば、これまでFAXや電話、メールが主流だったのですが、「一冊!取引所」は書店向け楽天、といった感じのモール型のプラットフォームで、掲載されている出版社の本で気に入ったものがあれば、カートボタンを押して簡単に仕入れることができます。その際に、取次経由、直取引を選択できるのです。

この手軽さもすごいのですが、一番のポイントは2022年から始まった「一冊!決済」という支払い方法の登場です。要は直販の場合に利用できるクレカ払いなのですが、クレジットカードで支払えるということは、直販につきものだった各書店、出版社間の請求書のやりとりや、振り込みの煩雑さが解消されるということ。どれだけ取引数が増えたとしても窓口は一つなので、お金の管理が非常に楽になります。書店は無料で利用でき、出版社は使用料がかかりますが、非常に面白い試みだな、ということで今後も注目していきたいサービスのひとつです。

次回以降は、ECの活用や面白い売り方をしているひとり出版社を取り上げてみたいと思います。お楽しみに!