Google マーチャントセンターはなぜスゴいのか?(前編)

EC担当者の方の中には、Google マーチャントセンターを日常的に利用している方も多いのではないかと思います。このGoogle マーチャントセンター(とその仕組み)、今ではEコマースにおいては当たり前のように活用されているんですが、現在の形に至るまでにはGoogle社の様々な模索があったのです。本日はそんな「Google マーチャントセンターがどうして今の形になったのか?」の部分をお話したいと思います。

▼AMラジオのノリで、今回の件をしゃべってます。ポッドキャストはこちら▼


目次

  1. Google マーチャントセンターとはなにか?
  2. マーチャントセンターに至るまでの歴史
  3. なぜFroogleやProduct Searchは失敗し、Google Shoppingは離陸できたのか

Google マーチャントセンターとはなにか?

そもそもGoogle マーチャントセンターとは何なのか。今話題のChatGPT先生に聞いてみました。以下、ChatGPTの回答。

「Google マーチャントセンター」とは、Googleが提供するオンラインショッピングのためのツールで、商品情報を管理し、Google検索やGoogleショッピングでの販売を行うことができます。
具体的には、マーチャントセンターに商品情報を登録し、必要な設定を行うことで、商品がGoogle検索の検索結果やGoogleショッピングで表示されるようになります。ユーザーは検索結果から直接商品ページにアクセスし、購入することができます。
マーチャントセンターを使用することで、オンラインストアの販売促進や、商品の広告掲載を行うことができます。また、商品情報の管理も簡単に行うことができ、在庫や価格などの更新もリアルタイムで反映されます。
マーチャントセンターの利用には、Googleアカウントと、商品情報を格納するデータフィードが必要です。また、一部の機能は有料の広告サービスである「Google広告」と連携して利用することができます。
総じて言えることは、マーチャントセンターはオンラインストアを持っていない小規模ビジネスから、大手企業まで、誰でも利用可能で、オンラインショッピングのプロモーションや販売に有効なツールであるということです。

さすが!ほぼ完璧な回答をいただきました。
ちなみに、上記の「Googleショッピング」には無料枠と有料枠があり、有料枠は「Google ショッピング広告」と言います(以前はPLA(Product Listing Ads)と呼ばれていた)。

マーチャントセンターはこのPLAの土台となるもので、商品情報のデータベースのことを指します。データベースなので、カラム(スキーマ)があり、レコードとして1つ1つの商品が一行ずつに格納されているイメージです。

データベースということは、つまり情報が構造化されているということ。この構造化されているというのが非常に重要であり、マーチャントセンターたりうる価値なのです。


マーチャントセンターに至るまでの歴史

Googleが初の商品検索エンジンとして作ったのが、2002年12月にスタートした「Froogle」です。

Froogleのコンセプトは現在のGoogleショッピングと大差はありませんが、画面の構成としては、上記のキャプチャのように検索窓があり、フィルタの選択項目があり、左側に検索結果。右側にAdwordsの広告枠があるというものでした。こちらは約2年間のβ版運用ののち、残念ながら放置されてしまいます。

その後、2007年にGoogle Product Searchという名前で、さらに
2010年にはGoogle Shoppingとしてリニューアルされます。Google Shoppingの開始と同時に、マーチャントセンターも始まります。その後βテストを経て2011年より商品リスト広告が開始。日本では2012年から開始されました。系譜だけ見ると、何度もリニューアルを繰り返し、試行錯誤した足跡が見えますね。


なぜFroogleやProduct Searchは失敗し、Google Shoppingは離陸できたのか

① Googleショッピング単体での離陸ではない

Googleに限らず、何かのサービスを普及させるためには、まずユーザーに認知してもらい、なじんでもらう必要があります。Froogleやその改善版であるGoogle Product Searchは、Googleの検索とは別個のサービスとして作られていたため、ユーザー側からすれば馴染みにくいという点がありました。

対するGoogleショッピングは、Googleの検索画面上のユニバーサルサーチの中に組み込まれ、ブレンドされていたため、「何かを購買したい目的で検索行動を起こす→ユニバーサルサーチ上でGoogleショッピングタブに気づく」というふうに、ユーザーの検索~購買の一連の流れの中で非常にスムーズに馴染んだという点が挙げられます。

※ユニバーサルサーチは2007年より段階的に提供が開始されました。以下のキャプチャの黄色線部分のような枠のことを指します。
(なんかこのキャプチャを撮った時、無性にりんごが食べたかったです)

② クロール~インデックスから、アップロード~構造化へ発想の転換

ただし、ブレンドされただけではここまで普及はしなかったのではないかと考えます。それは、従来型のクロール~インデックスの情報収集モデルは、ショッピングにおいては致命的だったからです。

従来型のクロール型というのは、Google側がサイトを巡回して(=クローリング)、情報をインデックスしていく方法です。通常のSEOであればTitleタグやDescriptionタグを読み取って、Google側は「ふむふむ、これがタイトルなのね~」と判別するわけですが、ショッピングの場合、それがうまくいかない。

例えばサイトに何らかの情報をアップしてからGoogleがクローリング、インデックスするまでにはある程度期間があくので、通常価格のタイミングでGoogleが巡回しに来た場合、せっかくセールを実施していても次のクローリングまではGoogle上では「このサイトの△△という商品は○○円(通常価格)である」と認識され、ショッピング枠にも通常価格で反映されてしまうわけです。

画像に関しても、サイト内には商品画像以外にも色々な画像があるわけなので、どれがどの商品の商品画像なのか、Googleとしては判別できないのです。ショッピングに提供する情報として、画像や価格の精度が低いのは致命的ですよね。

クロール→インデックスの方法に限界を感じていたのか、Googleは発想を転換します。自分たちから情報を取りに行くスタイルがうまくいかないなら、ユーザーにアップロードしてもらえばいいじゃん!!

ユーザーにアップロードしてもらうインセンティブは、もちろん売上に直結すること。アップロードしてくれたら、僕ら(Google)が広めるから、リンクを辿ってお宅への訪問回数を増やしまっせ!というわけで、Googleショッピングの開始と同時に、マーチャントセンター(商品情報アップロード用のデータベース)も開始されたのです。

後編では、マーチャントセンターの何かすごいのか、マーチャントセンターだからできるようになったことと、EC運用者は実際どう活用すれば良いのかについて、お話していきたいと思います!