なぜそんなに安い?!Temuで実際に買い物してみた

皆さんECでお買い物してますか?今日は、7月にひっそりと日本に進出し、最近ショッピング広告枠でも見かける頻度が高くなってきた「Temu」についてのお話です。リリース時からテーマにしたいと思いつつ、気づいたら3か月も経っちゃってました!が、実際に購入もしてみたので、せっかくなので取り上げさせていただきます。

めちゃくちゃ安いことでその名を轟かせているTemu。実際に購入してみた際の所感や、なんでそんなに安いのか?について調べてみました。

▼AM放送のノリで話しています。ポッドキャストはこちら▼

Temuの基本情報おさらい

Temu(ティーム―)は中国のEC大手「拼多多(Pinduoduo:ピンドウドウ)」が海外向けに展開している越境ECサイト。「拼多多(Pinduoduo)」は中国ではアリババなどに次ぐ、3番手くらい大手です。Temuは22年秋に米国で事業を開始し、23年2月開催のスーパーボウルの中継でのCM放送で一気に知名度を上げました。

アメリカではGoogle PlayとApple Storeにおいて人気無料アプリの上位を常にキープしており、23年8月時点では約30か国に進出しています。日本でのリリースは7月とわりと最近で、間を置かずに韓国向けサイトのサービスも開始しています。

23年の流通総額はグローバルで1兆4200億円に達するという見通しもありますが、あくまでこれは流通総額であり、以下の記事では米国に発送される注文ごとに平均30米ドルの損失を被っているとのこと。今は成長させるための爆投資期間ということなのでしょう。

Temuにとって初めての「生死の瞬間」が訪れる?

どんなECなのか?実際に買ってみた!

Temuが最もウリにしているのが、その圧倒的な安さ。広告で「Shop like a Billionaire」がキャッチコピーとして謳われている通り、とにかく安い。

Temuの広告スクリーンショット

日本においてもリリース時「オープニングセール」と題して90%OFFセールを実施していたり、セール期間でなくとも基本的に50~60%OFFが当たり前のように見える価格表示がなされています。それゆえ、ネットやSNSで調べると「Temu 怪しい」「Temu 危険」等のサジェストが出るくらい。

とは言え、「実際に買ってみないと良さも悪さもわからない!」ということで、実際にアプリを使って購入してみました。

価格

下は100~200円くらいのものから、高くとも1万円以内の商品価格帯。ボリュームゾーンは1,000円以下の商品群。

カテゴリ

美容品や日用品のほか、電子機器、ベビー用品、楽器、カー用品、工具、ペット用品、携帯電話の周辺機器まで幅広くラインナップ。

カテゴリ選択画面は雑多で魔窟感がある

先行して展開・拡大している中国系ECの「SHEIN(シーイン)」も安さを売りにしていますが、SHEINとTemuの一番の違いはこの商品幅の違いによるユーザー層の幅広さではないでしょうか。SHEINはアパレルECということもあり若い女子をターゲットとしたラインナップですが、Temuは必ずしも女子ゴコロをくすぐる商品だけではない点が違います。

ガジェット好きの男性が好きそうな商品も

UI

UIはシンプル路線ではなく、雑多な印象。Amazonのような、ほしいものが決まっている人が探しやすいUIというよりは、ドン・キホーテっぽいお宝発掘感を楽しむ感じです。絞り込み検索機能やサイト内検索機能は、思っていた商品がうまく表示されなかったりと、ちょっと使いにくい印象でした。

取り扱い商品の中にはこんなものも…

有名ハイブランドの(すごく婉曲な表現をすると)インスパイア版みたいな商品もちらほら。掲載規則までは確認していませんが、ある程度緩いのでしょうか…。

カル〇ィエ風ブレスレットとヴァン〇リ風ブレスレットを発見。どちらも300円代!

ローカライズ

私が購入してみたのが23年8月初頭(日本版リリースから1か月弱)でしたが、その時点でも口コミの数はかなりついていました。ただし、文法が怪しい機械翻訳感満載の日本語だったので、他国語からの翻訳がほぼだと思われます。

口コミ画面

購入フローと最低注文金額

私はFitbitの替えバンドが欲しかったので、それを買ってみることに。「まもなく完売になります」といった文言で焦らせてきますが、3日経っても完売はしていなかったので、あまり焦らずじっくり購入検討しても良いかもと思いました。

また、一品一品は激安のTemuですが、一回の最低注文金額の下限が設定されています。私の購入時点では1,400円でした。上記のFitbitバンドだけでは届かないので、結局色々買っていたら2,600円(割引前金額で5,000円くらい)ほどお買い物してしまいました。

支払い方法

支払いオプションは、クレジットカード以外にもApple PayやGoogle Pay、Paypal等にも対応しています。

そもそもなぜそんなに安いのか?

株式会社カウシェさんの記事によると、Temuは自社管理型のビジネスモデルであり、販売価格の設定からマーケティング、フルフィルメントまで一気通貫で行っており、加盟店(サプライヤー)は商品を倉庫に搬入するだけで海外消費者にリーチできるそうです。

また、Temuでは「入札モデル」を導入しており、加盟店は決められた入札時間内に価格の提示とサンプル送付を行わないと、Temu上での販売ができなくなるそう。そして入札は1週間に一度行われ、出品された商品の中で低価格帯の商品のみがTemu上で販売できるそうです。

またたとえ現時点で最安値で掲載されたとしても、翌週以降で他の加盟店がより安価を提示した場合、商品は販売停止・返品になる可能性もあり、加盟店は是が非でも低価格を提示し続けなければいけないと。こうしたシステムが、ここまでの安さを実現させているようです。

広告出稿額がすごい勢いで伸びている

日本においても、7月以降Googleのショッピング広告枠でTemuを見かける頻度が高くなっていると感じます。

安価商品のショッピング広告枠はTemuとSHEIN祭り状態

先行してリリースしていた米国においても、この体感を実数値で表すリサーチ結果が出ています。

出典:Tinuiti 発行  Digital Ads Benchmark Report Q2 2023

22年秋のリリース後、ホリデーシーズン⇒スーパーボウルを経て、23年上半期にはすでにGoogleショッピングオークションの主要プレーヤーへと成長しており、直近でWalmartを抜くほどの勢いに成長してきています。グラフの追い上げ感がすごいですね。

WalmartとTemuのインプレッションシェアがちょうど負の相関関係に見えるとこから、eBayに次ぐ3位のポジションをWalmartから奪っているという印象です。

日本でも徐々に浸透しつつあるTemu。今後どのように成長していくのか、引き続き動向をウォッチしておきたいと思います!