皆さんこんにちは。疲れているけど頑張らなきゃいけいない、頑張りすぎて疲れが抜けない、そんな負のループにハマり中のイタニです。手っ取り早く疲れを何とかしたいとき、元気になりたいときに頼りがちなのが、私の場合は栄養ドリンクやエナジードリンク類。この界隈、昨今ちょっと変化してきていると感じています。今日はその辺を調べてきました!
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お疲れ現象は今に始まったことではない?
まず最初に、単純に私が年を取ったから疲れたと感じやすくなっているのか、皆そう思っているのか、そのあたりはどうなんでしょう?マイボイスコム株式会社の2023年の調査によると、N9962名の中で、慢性的な疲労を感じている人は約6割という結果に。結構みんな疲れているんですね。
じゃあ、このお疲れ人が多い状況って最近に始まったことなのか?というと、そうでもなさそう。2015年から2023年までのアンケートを見ると、疲れを感じている・やや感じていると回答した割合が2015年で64.6%なのに対し、2023年は60.4%。間の年も同じような割合で疲れを感じているため、お疲れ現象は今に始まったことではないようです。
みんな何で疲れを取っている?
では、どのようにして疲れを取っているのでしょうか。アイリサーチの調査を見ると、睡眠や入浴が多数を占めていますが、栄養ドリンクに頼るとの回答も16%ほどありました。
時間のある時は睡眠や入浴、マッサージや趣味などで疲れを解消できますが、そういう時間もないとき、今すぐ何とかしたいという時に使えるものの中では栄養ドリンクは根強い印象があります。
では次に別角度の質問で、疲れを感じた時に摂取しているものについて問うた質問では、1位がコーヒー系飲料、2位がお菓子と続き、3位にドリンク剤がランクイン。肉や魚、野菜なども回答にありましたが、それよりも高い割合となっています。
ちなみに、エナジードリンクは10位なのですが、その内訳を年代別に見てみると、ドリンク剤と回答した人の中で割合が高いのは60代以上、最も少ないのは20代なのに対し、エナジードリンクでは30代が1位で、20代が2位との結果に。
栄養ドリンク一強時代からエナドリ台頭の時代へ
ちなみに、ここまで語ってきた疲れた時には栄養ドリンクやエナドリの文脈は、細分化すると2パターンあります。
疲れているけど、もうひと踏ん張り頑張りたいから気合を入れるため(マイナスorフラット→プラスへ)飲む場合と、 疲れているから疲れを取り除きたくて(マイナス→フラットへ)飲む場合です。
そもそも「栄養ドリンク剤」が日本で初めて発売されたのは1962年。言わずと知れた大正製薬のリポビタンDです。ちなみに日本初の缶コーヒーが1969年発売とのことなので、それより前からあったことが驚きですね。(参考)
それから永らく「頑張りたいパターン」も「疲れを取りたいパターン」も栄養ドリンクが担ってきたのですが、2005年にレッドブルが日本初登場した頃から変化が。
以下のグラフを見ると、栄養ドリンクは2005年以降右肩下がりで、逆にエナジードリンクは右肩上がりになっているのがわかります(それでもまだまだエナドリは栄養ドリンクには追いつけていませんが)。
とりわけレッドブルは、バーやクラブからスタートし、スポーツイベントへの協賛など多額の広告宣伝費をかけてきたことで一気に若者にブレイクした印象があります。また、これまでの栄養ドリンクのように”疲れたサラリーマンにカツを入れる”ではなく、”若者に対して(疲れた状態やフラットな状態から、)飲めば気分がアガる”というブランディングを行ったことが、両者のCMからも見て取れます。
実際、エナドリを買っている年代別・男女別比率を見てみると、主な購買層は男性10~30代。
10年ちょっと前、私が大学生の頃レッドブルカーが無料で配りまくっていたのを覚えています。前述した疲れた時に摂取するものアンケートでエナドリと回答した人の年代割合と似ていることからも、この世代は疲れた時⇒エナドリの認識が根付いていそうですね。
また、男性に多いというのは容量の問題もあるかも。エナドリは250~300ml以上が主流なのに対し、栄養ドリンクは100ml以下のサイズ。男性からしたら「飲んだ気がしない」と思うのもありそう。
その後、後発のMonsterが登場。当時275円/250mlだったレッドブルに対してモンスターは355ml/200円という大容量パッケージ。若年層を狙う上で、安くて大容量は強かったのでしょうか。また、ケミカルないかにも体に悪そうな感じも好奇心をくすぐり、一気にパイを奪い、現在日本のエナドリ市場ではモンスター>レッドブル>純国産のZONeの順の売上比率になっています。
栄養ドリンク・エナドリ界隈の第三勢力「逆エナドリ」の登場
そんな中、数年前から第三勢力として台頭してきたのが、エナドリとは真逆のブランディングである逆エナドリ、いわゆるリラクゼーションドリンクです。
リラクゼーション、つまり癒し。世界的に癒されたい需要は高まってきているようで、「how to heal(癒しの方法)」とGoogleトレンドで検索してみると、ずっと過去最高値を更新しているようです。
詳しい要因は私にはわかりませんが、コロナ禍に加え、安定しない世界情勢などから、単に労働に疲れているから疲労を取りたい、もうひと踏ん張りしたいという選択肢ではなく、「癒されたい」という第三の需要が発生しているのではないかなと思います。体が体力的に疲労しているのではなく、ココロが疲労していると言いますか。
これを受けて、リラクゼーショングッズ市場は急速な展開を見せています。旅行業界ではラグジュアリーホテルを中心に癒し系プログラムがローンチされていたり、マインドフルネス系のアプリが急速にリリース数を伸ばしていたり…。日本のサウナブームやソロキャンブームもこの「癒し」トレンドに乗ったものなのではないかな。
ドリンクにも同様の動きがみられており、リラクゼーションドリンクが種類を増やしています。例えば日本コカ・コーラ社が出している「CHILLOUT」。日本では2016年から発売されていますが、2019年に日本コカ・コーラ社が資本参加・リブランディングして本格販売されました。
保存料や着色料などを使用せず、グルテンフリーでノンカフェイン。リラクゼーション成分としてGABAやテアニン、ヘンプシード抽出物なども含まれており、いかにも自然派志向で体によさげ、癒されそうな感じがする響きです。
他にも、サントリーから「Chilling(チリン)」、チェリオからは「CBDX」なんかも癒しをテーマにしていそう。睡眠の質を高める訴求などの回復系ドリンクはこれまでにもたくさんありましたが、「チルアウトすること」をメインに据えた飲み物は新しい動きなのではないでしょうか。
実際、市場としてはまだエナドリ系には及びませんが、23年3月時点の販売店率をみると25%で、ZONeの53%を追いかけるレベルにはなってきています。
先ほどのGoogleトレンドでも見た通り、「癒されたい」ニーズの上昇はしばらく続きそうなので、今後も癒しをキーにした商品は多数展開されていくと思われます。アルコール度数もストゼロ系からノンアル・微アル系にシフトしているように、時代はアッパーよりもダウナーを求めているのでしょう…か??