プリクラの来し方行く末的な話

皆さんこんにちは。今日はなつかしきプリクラの話です。わいわいワイドの片割れであるイタニは、小、中、高校と、青春をプリクラとともに歩んできたといっても過言ではないほど、プリクラ世代ど真ん中なのであります。ただ、大学生になったあたりからスマートフォンが登場し、「学校帰りに撮ろ☆」ときゃいきゃいできる歳でもなくなってしまったことで、プリクラはとんとご無沙汰です。

今プリクラってどうなんだろう。息してるんだろうか。そんな疑問から、昨今のプリクラ事情を調べてきてみました。世代の方も、世代じゃない方も、ぜひお付き合いください!

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プリクラ黎明期

今回、現在のプリクラ事情を調べるにあたってプリクラの歴史を振り返ってみました。一番最初にプリクラが登場したのは1995年のこと。アトラスとセガが共同開発し、その名も「プリント倶楽部」と言いました。「ぷりんとくらぶ~♪」という掛け声?で覚えている方も多いのではないでしょうか。この頃はまだ落書きができず、フレームに自分の顔を嵌めるだけのものでしたが、撮った写真がシールになるという点がユニークで、めちゃくちゃ流行った記憶があります。ていうか、プリクラが登場したのって、約30年前なんですね…。なんか怖い(自分の老いを感じる的な意味で)。

画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』

プリクラ発展期

勝手に発展期と呼んでおりますが、だいたい2000~2006年頃を指しています。この頃になると、いわゆる現在のプリクラの基本機能である「全身が写る/背景変更や落書きができる/顔を加工して多少盛れる」などが搭載されてきました。この時期ちょうど浜崎あゆみや倖田來未が流行っていたので、「いかにギャルっぽく撮れるか」を重視していたような気がします。

画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』

当時私の住んでいたエリアでは、このプリクラを貼りまくった「プリ帳」を作るのがブームでした。思い返してみると、どれだけ多くの友達のプリクラをもらえたか、プリ帳に貼れるかをみんな意識していて、今でいうSNSのフォロワー数のような感じで女子の自己顕示欲を満たすためのツールだったような気がします。

(ウチのエリアではこれが増長しすぎて、わざわざプリクラ交換のためにプリクラをカラーコピーしてまで配っていた笑)

プリクラ成熟期

2007年頃から徐々にスマホが普及し始め、シールからデータの時代へ移行。プリクラにも赤外線通信などでスマホにデータを転送できるサービスが出てきていた気がします。また、顔の加工機能も進化し、より目をデカく、あごを細く加工できるように。もはや実物とは別人のようなプリクラになってましたが、現在のプリクラや加工アプリもその流れを汲んで進化しているように思います。

画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』

私のプリクラ人生はここらへんまでで、その後めっきり撮らなくなりました。

プリクラがたどった20年

私のおぼろげな青春の記憶を補完できる資料はないのか…と思い調べてみたらありました。日本アミューズメント協会の調査資料『プリントシール機20年史』によると、売上のピークは1997年の第一次ブーム期で、1,000億円を超える売上高でした。その後一度ブームが下火になり、翌98年には売上高が激減。次ぐ第二次ブームは2000年代に入ってからで、2002年に600億円超の売上高にまで回復しました。

画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』

そこからまた長い下り坂の時代を経て、2010年頃からシール市場に回復が見られているようです。また、プリクラ機の設置台数自体は減少傾向にあるものの、1台あたりの年間売上高は増加傾向なのも興味深いです。

画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』
画像引用元:日本案ニューズメント協会『プリントシール機20年史』

今プリクラってどうなってるの

時は戻って現在、スマホのカメラ性能は毎年良くなり、加工アプリもたくさん登場しているため、今の若い人はプリクラって撮っているんだろうか?『プリントシール機20年史』は2013年までのデータだし、約10年前と今では状況が違いそう。そう思いながら調べてみましたが、ここまでまとまっている資料はありませんでした。

ただ、断片的なデータではありますが、マクロミルの2020年の調査によるとプリクラの撮影経験がある女子高生の割合は97.9%にのぼるとのこと。スマホが生活に根付いている現代の女子高生であっても、プリクラはカルチャーとして受け継がれているんですね。

プリントシール機側も現代の需要に応える試行錯誤をしており、業界シェアNo1のフリュー株式会社では通信容量や画像容量を従来よりも大きくして高画質でのSNS投稿を可能にしたり、プリクラ加工がなされた状態で動画撮影できる機能によりインスタグラムのリール投稿なんかもできるようにしているとのこと。

また、2022年2月にはアパレルの「WEGO」が竹下通りに「WEGOプリパーク」をリニューアルオープンさせています。撮影前にメイク直しができたり、ヘアアイロンの無料貸し出し、充電スポットをの受けたりと、若者が集う場づくりのフックとしてプリクラを活用しています。

プリクラをフックにメイクブースでの試供販促や、若者向けの服や雑貨の物販ブースを併設するなど、ただ撮影する場所から若い世代をターゲットにした販促の場としてプリクラの在り方を多角化させているのが面白いですね。

前述のクロストレントのフリュー取材記事によると、スマホカメラになくプリクラにあるものは、「盛れる」「遊び」「記念」の3要素だとのこと。「記念」に関しては完全同意で、やはり大切な本は電子書籍よりも紙で持っておきたかったり、結婚式の写真は高いお金を払ってでも紙のアルバムにして残しておきたかったりしたいのと同じで、特別な思い出を特別感のある形で残しておきたい需要にプリクラががっちりはまっているから、未だに根強い人気を誇っているのなと思います。

プリクラとともに駆け抜けた青春を振り返りながら、久々に撮りに行ってみようかなと思うイタニでした。